第1回 ドニゼッティ《愛の妙薬》Web写真展

※本ページに掲載された「小原・堀田写真コレクション」の著作権は全て昭和音楽大学に帰属します。
 貸出も行っておりますので、ご利用になりたい場合はこちらをご覧ください。⇒小原・堀田写真コレクション
 なお、画像の不正使用(無断での転載、画像保存、SNSでの投稿等)はおやめください。
※本ページに掲載された写真の肖像権については、デジタルアーカイブ学会による「肖像権ガイドライン」
(2021年4月公開、2023年4月補訂)に準拠しています。
 
 10月7・8日に「大学オペラ公演2023 ドニゼッティ《愛の妙薬》」が上演されました。1957年の第1回声専オペラから数えて48回目の公演となります。そして、大学オペラで最も公演回数の多い演目が《愛の妙薬》で、今回で10回目となります。
 昭和初期から平成初期にかけての音楽写真を網羅した小原・堀田コレクションには、1959年のイタリア歌劇団の公演から1995年の藤原歌劇団第197回公演までの六つの《愛の妙薬》が収蔵されています。膨大な量の写真の中からほんのわずかではありますが、ご紹介します。
 

(1)1959年2月8・11・14日、3月6日 第2回NHKイタリア歌劇団公演
  東京宝塚劇場、大阪フェスティバルホール 撮影/小原敬司


1956年から始まったNHKイタリア歌劇団公演は、いわゆる「引越し公演」ではないものの、当時としては考えうる最高に贅沢な企画であり、日本にイタリア・オペラとはどういうものであるかを広く知らしめたイベントでした。第2回公演は、マリオ・デル・モナコとフェルッチョ・タリアヴィーニという二大テノールが顔を揃えたことで、今日まで語り草となっています。

指揮:アルベルト・エレーデ 演出:ブルーノ・ノフリ 管弦楽:NHK交響楽団 合唱:東京放送合唱団、二期会合唱団(撮影はリハーサルより)
 
 第1幕 B5691-12 
左より アルトゥーロ・ラ・ポルタ(ベルコーレ)
      
アルダ・ノニ(アディーナ) 
 
フェルッチョ・タリアヴィーニ(ネモリーノ)
       
 第2幕 B5691-28 
左より アルダ・ノニ(アディーナ)      
パオロ・モンタルソロ(ドゥルカマーラ)  
後ろ フェルッチョ・タリアヴィーニ(ネモリーノ)
      
 
 

(2)1969年1月22・23・24日 藤原歌劇団第110回公演 文京公会堂 撮影/堀田正實


1969年は、昭和音楽短期大学の開学という、本学にとっても重要な年でした。前年に創立35周年を迎えた藤原歌劇団は、1969年の新春公演として、劇団史上初めてドニゼッティを取り上げました。

総監督:藤原義江 指揮:福森湘 演出:青山圭男 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団 合唱:藤原歌劇団合唱部, 二期会合唱団(撮影日:1月22日)
 
 第1幕 (OPAC未公開) 
左より 鈴木寛一(ネモリーノ)
 
田島好一(ベルコーレ)
 
戸田政子(アディーナ)
 第2幕 (OPAC未公開) 
左より 梅原秀次郎(ドゥルカマーラ)
       
鈴木寛一(ネモリーノ)
       
戸田政子(アディーナ)
 
 

(3)1980年9月24・25・26日  藤原歌劇団第145回公演 新宿文化センター 撮影/堀田正實


本学のオペラ教育に大きな貢献をした粟國先生が、1977年にイタリアより帰国し、翌1978年には粟國演出の《愛の妙薬》が誕生しました。本公演では新たな出演者を迎え、単なる再演には留まらない素晴らしい公演となりました。ネモリーノ役には、1978年に続き本学第5代学長の五十嵐先生が出演しています。

指揮:福森湘 演出:粟國安彦 合唱:藤原歌劇団合唱部
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団(撮影はG.P.より)
 
 第1幕 M0027-09 
左より 松本美和子 (アディーナ)
      
五十嵐喜芳 (ネモリーノ) 
 第2幕 M0034-25 
左より 本宮寛子 (アディーナ)
      
後向き 鹿野章人(ベルコーレ) 
 
高橋啓三(ドゥルカマーラ)
 
 

(4)1986年6月27・28日 二期会オペラ公演 新宿文化センター 撮影/堀田正實


本公演で最も注目されたのは、ウィーン、ミュンヘンと世界で活躍していたネモリーノ役の山路芳久でした。二期会退団後はフリーとして藤原歌劇団の公演にも参加していましたが、1988年12月、38歳の若さで亡くなりました。その突然の死が日本の音楽界に与えた衝撃は、計り知れないものでした。

総監督:中山悌一 指揮:佐藤功太郎 演出:ヤコボ・カウフマン 合唱:二期会オペラスタジオ研究生・他 
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団(撮影はG.P.より)
 
 第1幕 (OPAC未公開)      
後ろ 山路芳久(ネモリーノ) 
      
前方左より 大島幾雄
      
   (ベルコーレ)
      
豊田喜代美(アディーナ)
 第2幕 (OPAC未公開) 
左より 豊田喜代美(アディーナ)
 
佐藤征一郎(ドゥルカマーラ)
 
山路芳久(ネモリーノ)
 
 

(5)1993年5月25・28日、6月1・4・8日 メトロポリタン・オペラ1993年5月~6月
  日本公演 神奈川県民ホール、東京文化会館 撮影/堀田正實


テレビ朝日開局35周年記念を冠して行われた本公演は、メトロポリタン・オペラにとっては1975年・1988年に続く3回目、5年振りの来日公演で、三大テノールのうちの二人、ルチアーノ・パヴァロッティとプラシド・ドミンゴの競演が大きな話題になりました。パヴァロッティは、1971年のNHKイタリア歌劇団公演で初来日、その後1975年のメトロポリタン・オペラ初来日公演、その他単身でも来日しています。

指揮:エドアルド・ミュラー 演出:ジョン・コプリー 管弦楽:メトロポリタン歌劇場管弦楽団
合唱:メトロポリタン・オペラ合唱団(撮影日不明)
 
 第1幕 (OPAC未公開)      
ルチアーノ・パヴァロッティ 
      
      (ネモリーノ)

 第1幕 HT-000626 
ルチアーノ・パヴァロッティ
(ネモリーノ)
 
 


(6)1995年2月6・8・11日 藤原歌劇団第197回公演 東京文化会館 撮影/堀田正實


藤原歌劇団創立60周年記念となった本公演では、1956年の第1回NHKイタリア歌劇団公演で「フィガロの結婚」のフィガロ役を演じたジュゼッペ・タッデイがドゥルカマーラ役で登場し、世界最高のバリトンを再び聴かせてくれました。

総監督:五十嵐喜芳 指揮:アントン・グァダーニョ 演出:アントネッロ・マダウ・ディアツ
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団 合唱:藤原歌劇団合唱部(撮影はG.P.より)
 
 第1幕 HT-001158.03 
左より 出口正子(アディーナ)
      
折江忠道(ベルコーレ)
 第1幕 HT-001158.04 
左より ピエトロ・バッロ
      
(ネモリーノ)
      
出口正子(アディーナ)
 

 
 第2幕 HT-001158.05 
左より 出口正子(アディーナ)
      
ジュゼッペ・タッデイ(ドゥルカマーラ)
 

<大学オペラ《愛の妙薬》はここから始まった>
1990年11月8・15日 東成学園オペラ第16回公演 厚木市文化会館、新宿文化センター


1990年1月、本学のみならず日本のオペラ界に多大な貢献をされた粟國安彦先生が亡くなられました。追悼の意味も込めて、粟國先生訳詞による《愛の妙薬》が上演されました。大学オペラで最も多く上演された《愛の妙薬》の、記念すべき第1回目公演でした。

指揮:星出豊 演出:マルチェッラ・ゴヴォーニ 管弦楽:昭和音楽大学管弦楽部
合唱:昭和音楽大学合唱団・昭和音楽芸術学院合唱団(撮影日:11月8日)
 
 第1幕 中央 山田祥雄 
(ドゥルカマーラ)
      
「東成学園80年史」より
      
/撮影者不明

 

中村佳子 (アディーナ) 的場辰朗 (ネモリーノ) 松山郁雄 (ベルコーレ) 山田祥雄 (ドゥルカマーラ)
/「東成学園 アーカイブ映像資料」より (右下:オフショット/ 中村佳子先生個人蔵)


<参考文献>
日本オペラ振興会編(1986)『日本のオペラ史』日本オペラ振興会
増井敬二著,昭和音楽大学オペラ研究所編(2003)『日本オペラ史 上』
水曜社
関根礼子著,昭和音楽大学オペラ研究所編(2011)『日本オペラ史 下』
水曜社
江上優子(財団法人日本オペラ振興会)編(2005)『藤原歌劇団創立70周年記念誌(1934年6月〜2005年2月)』財団法人日本オペラ振興会
「二期会50年史」編集委員会(2003)『二期会創立50周年記念 二期会史(1952~2002)』二期会
東成学園80年史編纂委員会(2021)『東成学園80年史』東成学園
学校法人東成学園 アーカイブ資料/昭和音楽大学オペラ公演『1990年度(平成2年度)歌劇「愛の妙薬」 : 全2幕 』(1990)
 
            777